ママみててね Vol.101

乳幼児の言語と電子おもちゃ

乳幼児の言語発達とおもちゃの選択について面白い研究結果*が発表されました。何組かの乳幼児とお母さんを3つのグループに分け、グループ別に音や光の出る電子おもちゃ、パズル、本で数日遊んでもらいました。研究団体は、各グループの大人がどれくらい「言葉を使って子供と遊んでいるか」を比べました。その結果、本で遊んだグループは言葉の数、内容、時間で他のグループを突き放し、大人からの言葉かけだけではなく、子どもからも言葉がよく出たそうです。確かに、電子おもちゃを与えられた子どもは、おもちゃで遊ぶことに集中してしまい、側にいる大人は目に入りません。大人も、子どもがおもちゃで遊んでいればそれで安心して、他のことに気を取られてしまいます。

電子おもちゃやコンピューターのアプリは、教育目的をうたったものが多くありますが、光や音に子供が反射的に反応しているだけで、幼児期に必要な言語や社会性の発達には貢献していないようです。親子が本やパズルなどを使って会話をする時には、言葉の数やニュアンスだけではなく、会話の間のとり方、相手の話の内容に集中する練習、話し相手のリードを受け入れる練習、言葉にならない表情を読み取る練習ができます。

3歳になってプリスクールに入ってくる子どもの中にも、文字や物の名前はよく知っていても、先生や友達と話しができなかったり、目を合わせられなかったり、話をする順番を待てなかったりという子がたくさんいます。そういう子に限って、家や車の中ではタブレットのアプリで「お勉強」していると話してくれたりします。皆さんのお宅はどうですか?一度、子どものおもちゃを見直してみませんか?

*出典:“Association of the Type of Toy Used During Play With the Quantity and Quality of Parent-Infant Communication” by Anna V. Sosa, PhD in JAMA Pediatrics. (http://media.jamanetwork.com/)

<アブラモフ 羊子>
京都生まれの京都育ち、同志社大学卒業。Concordia University 幼児教育学修士。2000年Golden Apple Award Finalist。2001年Kohl/McCormick Early Childhood Teaching Award受賞。現在モンテッソーリ・ランゲージ・アカデミーでDirectorを務める。バイリンガル教育のプロフェショナル。