ママみててね Vol.113

問題解決能力

先日5歳から6歳の子供たちが10人ほどのグループで惑星の本作りをしaていました。先生が用意した説明文を友達と分け合いながら書き写していく作業です。自分が書き写したい紙を他の子が使っていたり、一緒に始めても終わるスピードが違ったりしても上手に場所を替わったり、色鉛筆を代わる代わる使ったりして、高度な社会性と問題解決能力を使って一人10ページほどの本を作り上げていきました。

和気あいあいとお互いにアイディアを出し合って問題解決していく子供たちを見ながら、「いったいどんな遊びが、こういった問題解決能力を育てたんだろう」と、この子たちが3歳、4歳だった頃を思い返してみました。3歳だった頃はもっと自己中心で、こんなに民主的ではありませんでした。

そこで思い当たったのが、クラスの中の環境が実社会に似た「不公平」な環境だということです。モンテッソーリのクラスでは、ある特定の作業(例えば、マーカー)がクラスに1セットしかありません。マーカーを使いたくても他の子が使っていたら我慢して待つか、他のもので間に合わせるしかありません。順番を待っていても、はじめの子が使い終わった時は、お片付けの時間、ということもあります。少し意地悪なようですが、毎日そういった環境にいると、「これがダメなら、あれでいこう」といった柔軟さも養われるようです。

私たちは子供を大切に思うあまりに、なんでも公平にどんどん物を与えてしまいがちですね。この次は少し思いとどまって、子供と「手に入らない時の対策」を考えてみてはどうでしょうか。問題解決能力は大きくなってからもきっと役に立つはずです。

<アブラモフ 羊子>
京都生まれの京都育ち、同志社大学卒業。Concordia University 幼児教育学修士。2000年Golden Apple Award Finalist。2001年Kohl/McCormick Early Childhood Teaching Award受賞。現在モンテッソーリ・ランゲージ・アカデミーでDirectorを務める。バイリンガル教育のプロフェショナル。