ママみててね Vol.115

コミュニケーションスキル VS タブレット

3歳になってプリスクールを始める前に、タブレットなどで「教育プログラム」を経験していたり、映画などにどっぷり浸かってしまっている子を最近多く見かけるようになりました。中には、そのおかげで文字や数字をすでに読めたり、大人しか使わないような語彙を使ったりできる子もいますが、そんな子に限って、実際クラスの中や公園で友達を作ったり、ルールを守ったり、というのはとても苦手なようです。この子たちは、ひと昔流行った「空気を読む」というのができなくてとても苦労しています。

幼稚園というのはそこのところを練習するのが目的ですから、私たちも父兄の方々と話し合いながら一人一人の子供が小学校に入る前にしっかりしたコミュニケーションスキルを身につけられるように働きかけます。しかし、そこでどうしても邪魔になってくるのが先に述べたようなスクリーン付きの電子機器の存在です。どうも、スクリーン付きの電子機器には、子供の脳を即座に満足させてしまう中毒性のようなものがあるようです。一度味わってしまうと同じ刺激を受けない限り満足できないのです。私たち大人ですら、携帯が手元にないとイライラするときがありますよね。

生後3年しか経っていない幼児が「どうしてお友達はタブレットのゲームや映画みたいに反応してくれないの?」というのは理解できません。電子機器なしでは生活できない現代社会ですから、早かれ遅かれ子供が電子機器を手にする日はくると思います。ただ、その前にしっかりした社会性とコミュニケーションスキルを確立させてあげるのは、100%私たち大人の責任だと思います。

<アブラモフ 羊子>
京都生まれの京都育ち、同志社大学卒業。Concordia University 幼児教育学修士。2000年Golden Apple Award Finalist。2001年Kohl/McCormick Early Childhood Teaching Award受賞。現在モンテッソーリ・ランゲージ・アカデミーでDirectorを務める。バイリンガル教育のプロフェショナル。