ママみててね Vol.116

落ち着く手作業

時々とても物知りで頭がいいのに、落ち着きがない子供を見かけます。何でもやらせればできるのですが、いつもその子の周りはザワザワしています。そのせいで、何をやっても最後までできなかったり、周りにいる友達の邪魔をしたり、ということの繰り返しになります。

そんな子供たちは落ち着いて何かに集中する練習が必要です。そのような練習にちょうどいいのが「ビーズ通し」「豆のより分け」「はさみ切り」などです。ビーズ通しでは、子供の年齢に合ったサイズのビーズをネックレス作りの要領で、ひもに通せるように用意をしてあげます。豆のより分けは、2、3種類の豆を小さい容器に少量混ぜて入れて、指でつまんでより分けます。はさみ切りは、はがきのような硬さの紙を2センチの幅の帯に切ったものを用意して、パチン、パチンと切っていきます。

どれも手先を使った機械的な単純作業ですが、子供の脳をいい具合に刺激するようで、作業の後は皆スッキリと落ち着きを取り戻します。モンテッソーリのクラスにはこのような作業がたくさんそろっていますが、これらはすべてお家でも用意できるものばかりです。

慣れないうちは短い時間しかできないかもしれませんが、何度かしているうちに、子供たちは落ち着いて集中することの気持ち良さに気が付いていきます。子供が集中し始めたら、声をかけたり、余計なアドバイスをするのをぐっとこらえて、見守ってあげてください。手作業を通して落ち着く経験は、子供たちが大きくなっても役立つものだと思います。

<アブラモフ 羊子>
京都生まれの京都育ち、同志社大学卒業。Concordia University 幼児教育学修士。2000年Golden Apple Award Finalist。2001年Kohl/McCormick Early Childhood Teaching Award受賞。現在モンテッソーリ・ランゲージ・アカデミーでDirectorを務める。バイリンガル教育のプロフェショナル。