集中力を育てる
将棋で前人未到の最多連勝記録を達成した14歳の藤井聡太四段のことが話題になっています。並外れた集中力の持ち主で、その原点が3歳から通ったモンテッソーリの幼稚園にあるのではないか、ということです。
生まれつきの素質や、家庭での環境、良い先生との出会いなどの要素が加味したのだと思いますが、確かに、モンテッソーリの教室の子供たちは「集中力」のある子に育ちやすいです。
藤井四段のお母さんの話では、幼稚園の頃、藤井四段は「ハートバッグ」作りに夢中になって、毎日何個も持って帰ってきたそうですが、子供が一日中ハートバッグ作りに夢中になっているのを我慢して見守った先生は、モンテッソーリの基本をよく理解されている素晴らしい先生だったと思います。実際現場で一つのことにこのような集中力を見せる子供に出会うと、先生としては、まず、とても不安になります。その不安感に負けて、不必要に声をかけてしまったり、バラエティーを持たせるために他にいろいろなものをさせてみたりすると、せっかくの集中力はよく育ちません。子供が一つのことに集中し始めた時、子供のことを信じて思い存分作業をできる環境を作ってあげれば、お家でもモンテッソーリの基本はできます。
また、藤井四段がこのような集中力を習得できた原因は、彼が没頭したお仕事が、手先を使うお仕事だったということもあると思います。人間の脳の領域の中で、手先からの刺激はとても大きなエリアを占めているからです。
子供をよく観察して、その子が何かに「はまった」瞬間をつかまえて、辛抱強く育てていってあげたいですね。
<アブラモフ 羊子>
京都生まれの京都育ち、同志社大学卒業。Concordia University 幼児教育学修士。2000年Golden Apple Award Finalist。2001年Kohl/McCormick Early Childhood Teaching Award受賞。現在モンテッソーリ・ランゲージ・アカデミーでDirectorを務める。バイリンガル教育のプロフェショナル。