出会いと再会、多文化共生の小川地球村塾よりハロー、ニーハオ、コモエスタ? 地球の“多角”から「待っています!」と若い呼び声
ホンジュラスのニコルから「新年おめでとう!」のカードが来た。ニコルとはホンジュラスの郊外ピカッチョの丘で会った。高校生グループが実習で畑を耕していたので仲間に入れてもらい、鍬を借りてしばし汗を流したのは2010年のことだった。帰国後メールのやり取りが続き、「親愛なるアヤコ。ご機嫌いかが?私は大学の経済学部を卒業し社歴3年です。ホンジュラスへまた来てください。楽しみに待っています。ハグを沢山贈ります!」と。アルメニアはイエレヴァン語学大学で会ったタテヴィクからも「お元気ですか?また来てね!」のメールが。こちらは6年目。モンゴルのアザーさんとも同様のやりとりが3年続いている。学生対象のアンケートを 旅に持ち歩いたので若者との出会いが多かった。ただ今夫が足首骨折、介添え中なので、彼らと出会った地球の一角、いや“多角”に心が飛ぶが身体は飛べず、「日本にいらっしゃい!宿泊は心配ご無用!」との返事にいとまがない。

再会のハグは小川地球村塾で!
小川地球村塾は年2回、昨秋第14回を迎えた。「文化の衝突」スキットで異文化を学び多文化共生のヒントを求めあう「異文化理解と多文化共生」が主テーマのパーティーだ。アメリカで行っていたMulticultural Music, Art, and Luncheonを帰国後も日本で継続しているのだが、面白いことにアメリカでのPartyも44人くらい、日本でも会場の都合で同人数の参加だ。筆者の専門は多文化・グローバル・平和教育。「たった1つの丸い船を分かち合う地球村民の集い」とうたうこの塾は、村人が共有する知恵を基盤に人種や民族を超越して平和的に共生する術を楽しく学ぶという目的を持つ昼食会だ。異文化歴訪を続ける筆者が地球の一角、いや多角で会った人や地域で個性的な活動をしている友人が参加する。
この集会には5つのプレゼンテーションがある。①多文化共生の学習=異文化が衝突するスキットを毎回参加者の前で有志に演じてもらい、文化の摩擦や衝突の解決法並びに異文化理解・共生について意見交換する。スキットでなく講演のときもある②多文化アート紹介=参加者が持参した多文化アートを鑑賞し合う。③多文化音楽=種々の楽器の演奏や合唱も行うが、ハープ、ピアノ、三味線、ケーナ等で盛り上る。④多文化飲物及び多文化食で会食するが、参加者の義務は廉価な一品料理のみ。⑤地球千鳥足の旅のPower Pointで多文化映画を観てのち交流会=ここで若者やシニアの縦の交流、異文化背景の人々との交流が出来、多文化言語も飛び交う。つまり参加者はアートで、音楽で、意見交換で、スピーチで、と必ずどこかで積極的参加を楽しみ、「今日の日はさようなら」でお開きだ。
命の尊さと平和希求、多文化共生愛の渦輪
先頃の地球村塾ではハンガリー系のトリスタン君、ハンガリー語と英語と日本語で異文化交流について話し、逆立ちのパフォーマンスまで見せてくれ、感動と笑いに包まれた。年末に我々夫婦の本を出版、担当した幻冬舎の編集長夫妻も駆けつけてくれた。最近の発表内容と参加者をご紹介しよう。麗子さんは障害者が世界を見る活動に従事、車椅子を押して障害者と健常者の共生をめざす地球千鳥足を継続している。気仙沼出身の敦男さんは平和を訴える写真展を続け、「平和とは日常生活が維持できる幸せだ」と原発への疑問を投げ掛ける。長崎出身のFさんは長崎被爆時、被爆者を救援し続けた永井隆博士の映画の主題歌を歌った。オマーンで家庭に招かれた美しい姉妹やオマーンの最南端、サラーラのホテルで会ったレナールやクリシュナン、コルドバで会ったカマニー等が参加、筆者のアメリカ時代の教え子マイクもよく飛来する。中国人、建新さん中日交流についてよく発表してくれ、「刺激を受けて帰宅します。この刺激を明日に向けての原動力にしたいと思います」と。その他、「良い時間を頂き有り難う!この会で参加者やご夫妻からパワーを頂き、諦めず不屈の精神で行こう!と前向きになります」:「日本の教育についてとか、高校生日韓サッカー交流等、種々の活動を知り、この会で視野を広げることができ、活動に一歩を1ミリでも踏み出したい」:「92才から大学2年生までの縦系列のパーティーは初めて、魅力的な方々にお会いできて刺激を受け、私もまだ頑張らねば!色々挑戦してみたい」:「この会で半年分の元気をもらいます。次の交流会が楽しみ」。出会い、再会、多文化共生、平和希求のこの会は「みんなが主役」、常に新参加者を歓迎する。友は、人の縁は宝なり。

文:小川彩子