日本の学校は間もなく年度末です。次年度に補習校をやめることを検討する方が目立ちます。現地校の学年が上がり、学習内容が難しくなったり、部活動に費やす時間が増えたりして両立が大変である。日本語力の伸びが停滞し、補習校の学習についていけない。などが、その理由です。
しかし、補習校をやめてしまうと、日本語の読み書きだけではなく、会話力も低下してしまう可能性があります。補習校では、同年代の子どもたちと会話ができるだけではなく、先生や保護者などとも会話をする機会があります。幅広い年齢層の人々の話すいろいろな種類の日本語を聞くことは、日本語のボキャブラリーの増加にもつながります。また、自ら話す努力をすることによって表現力の上達が促されます。
また、補習校では、授業の前後にきちんと挨拶をすることや授業中に先生の話や他の児童生徒の発言をしっかりと聞くことなど、日本の学校文化も学びます。さらに、入学式や卒業式などの式典にて、日本の厳粛な礼法も体験できます。運動会や発表会などの行事では、仲間とのチームワークの大切さも習得します。
国際社会はグローバル化が進み、日本企業の海外進出や外資系企業の日本への参入が、ますます増加するでしょう。そうなると、海外生活の長い子どもたちが、将来、日本や日本の企業で働く可能性もますます高まります。その際、日本語を使いこなし、日本文化を理解していることが有益となります。つまり、補習校での学びが、将来の人生の糧となるのです。すでに補習校を卒業し、社会人として活躍している方々は、補習校を続けてよかったと振り返っています。今、学習中の子どもたちには、そう思える日が来ることを信じ、頑張ってほしいです。

《執筆者》
丹羽 筆人(名古屋国際中学校・高等学校 アドミッションオフィサー北米地域担当 )河合塾での指導経験を経て、米国ではCA・NY・NJ・MI州の補習校・学習塾にて指導。現在はサンディエゴ補習授業校教務主任。代表を務める「米日教育交流協議会」では、日本語・日本文化体験学習「サマーキャンプ in ぎふ」を実施。他に、河合塾北米事務所アドバイザー。
●お問い合わせ先: nihs@ujeec.org(名古屋国際中高)