【第84回】帰国子女とは?帰国生受験とは?

 まず初めに、帰国子女とは何でしょうか。私なりの解釈で説明しますと、日本国外に暮らす日本国籍の未成年者が、帰国した際に帰国子女と呼ばれます。したがって、海外で暮らした経験があれば、期間は短くても帰国子女です。ただし、帰国子女は保護者の海外転勤のため帯同された場合に限り、留学目的で海外に在住した場合は帰国子女ではなく留学経験者とか、海外就学経験者などと呼ばれることもあります。また、帰国子女は、帰国して何年経っても帰国子女ですし、大人になっても帰国子女です。したがって、学校や受験関係の現場では、帰国児童生徒や帰国生という名称がよく使われています。

 次に、帰国生受験とは、帰国生受け入れ校の受験のことを指しますが、受験の話題に進む前に、帰国生受け入れ校について触れます。公立の小中学校は、義務教育段階ですので、すべての学校で帰国生を受け入れます。ただし、受け入れ後の扱いは、国内生と同じです。帰国生の人数の多い大都市では、特定校で日本語教室を設置したり、日本語の補習を行ったりしていますが、ごく少数です。一方で、国私立の小中学校や高校では、一部の学校が帰国生を受け入れます。帰国生のみの国際学級を設置、英語力の高い生徒の取り出し授業、日本語の指導や補習を実施する学校は少なく、受け入れ後は国内生と同じ扱いという学校が目立ちます。帰国生受け入れ校の多くでは、入試における配慮のみを行っています。入試における主な配慮は以下の通りです。
1)帰国生専用の入試を行い、国内生とは別に選考する。
2)国内生と同じ入試だが、受験科目数を減らしたり、帰国生に加点したりする。
 国内生の受験より早期の11~12月に入試を行う高校は上記の1)に、国内生入試が行われる2~3月に、国内生入試と同日に入試を行う高校は上記の2)に該当します。

《執筆者》

丹羽 筆人(名古屋国際中学校・高等学校 アドミッションオフィサー北米地域担当 )河合塾での指導経験を経て、米国ではCA・NY・NJ・MI州の補習校・学習塾にて指導。現在はサンディエゴ補習授業校教務主任。代表を務める「米日教育交流協議会」では、日本語・日本文化体験学習「サマーキャンプ in ぎふ」を実施。他に、河合塾北米事務所アドバイザー。

●お問い合わせ先: nihs@ujeec.org(名古屋国際中高)