【第281回】アメリカ

CincinnatiでSentimental Journey

 今回のアメリカ帰郷はSentimental Journeyかつ触れ合いの旅だった。前半は友人をレストランへ招待し再会を楽しんだ。Enaは「Century Inn」へ、18歳で単身アメリカの土を踏み今はお城のような家に住むお富さんは「如庵へ」、かつての隣人Paulはガールフレンドと一緒に日本レストラン「Ando」へ、という具合。Paulは日本人以上に日本料理を好む。「貴方の行きたいところに行きましょう!運転はお任せです!」と、彼の車で出かけたらどんどん遠くへ運転し、「Ando」にやってきた。奥さんのSusanは2年前に癌で亡くなったので新しいガールフレンド、ジョイスと一緒に。ジョイスの団那さんも2年前癌で亡くなったので、葬儀場で出会ったカップルだ。帰郷と書いたが、筆者にとっては23年間住んだアメリカの方が18年間住んだ出身県よりも引き寄せられる故郷だ。
 夫のSentimental Journeyはかつて代表をしていた会社訪問だった。筆者も何度か訪問したことがあるので一緒に大歓迎を受けた。アメリカ滞在当時、筆者はXU(Xavier University)やUCBA(University of Cincinnati Blue Ash校)で日本語、日本文化を教えていたが、なんと今回の夫の会社訪問で、XUのT-シャツを着た人がおり、筆者は彼とXUの思い出話や現在の地球千鳥足の話題で時間を忘れた。夫もかつての会社の現研究員たちに大歓迎されてやはり昔話や現在の地球千鳥足の話題で盛り上がり、夫婦ともこの会社訪問を大いに楽しんだ。
 その直後、夫は体調異変で殆どホテルのベッドの上で過ごし、筆者もそのあおりを食ってホテルにこもっていた。が、一度だけ、昔の教え子で現在は近隣都市の市長をしているGaryさんがホテルまで迎えに来てくれ、かつて教えていたUCBAへSentimental Journey。日曜日だったが門が開いており、人は殆どみかけず、自由に歩き回り、教室に入ってかつての教壇を懐かしんだ。Garyさんは、「52歳でアメリカに来てすぐ大学院に入り、55歳で修士号、還暦で博士号を取得なさった先生(筆者)を見習い、今大学院に通っています。忙しくてなかなか出席できませんけれど」と嬉しい報告をしてくれた。帰ろうと1階の出口に向かったら何となんと、筆者が教えていたときの学部長で日本語のクラスにもお招きしたことのあるドクター・ハウエルにばったり!用事で立ち寄られたのだった。筆者が日本帰国のため退職してからもずっと学部長さんで、学部長室に招き入れられ、2人とも満面の笑顔でこの奇遇を楽しんだ。Sentimental Journeyを楽しんだCincinnatiよ、また帰郷します! 

(左上下)UCBAの教壇に立つ筆者とプレゼンテーションをやってみるGaryさん(右上)かつての会社の研究員と(右下)レストラン Ando 

文・写真/小川彩子

筆者プロフィール
<小川律昭(おがわただあき)> 86歳
地球漫歩自悠人。「変化こそわが人生」をモットーとし、「加齢と老化は別」を信条とし、好奇心を武器に世界を駈け巡るアクティブ・シニア。オハイオ州シンシナティと東京、国立市に居所を持つ。在職中はケミカルエンジニア。生きがいはバックパックの旅と油絵。著書は「還暦からのニッポン脱出」「デートは地球の裏側で!夫婦で創る異文化の旅」。

<小川彩子(おがわあやこ)>80歳
教育学博士。グローバル教育者。エッセイスト。30歳の自己変革、50歳過ぎての米国大学院博士過程や英・和文の著書による多文化共生促進活動は泣き笑い挑戦人生。「挑戦に適齢期なし」を信念とし、地球探訪と講演・発表の日々。著書は「Still Waters Run Deep (Part 1) (Part 2)」「突然炎のごとく」「Across the Milky Way: 流るる月も心して」ほか。
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