高齢化シニアの行動は「はてな?」が多い?
USの永住権を維持している関係上、日本に帰国してからもUS経由の海外バックパック旅を実践している。足の腓骨骨折時も松葉杖でアメリカの運転免許証更新に行った。今回はシカゴ経由で旧友との再会、情報交換をした。旧友だが、ご夫婦での面会は初、50歳前後の働き盛りで二人ともエンジニアだ。業種は車と出版会社、感じの良い夫婦だった。はてな?仕事も技術本位の出向社員か、経済的には目いっぱいで、楽な暮らしではなさそうだった。アメリカという異文化社会の小企業で生きるのは大変なことだと思う。日本で保障されている会社なら心配はしないのだが。食事は中華、寿司のような注文方式でまえもって個々の種類を注文し、温かいうちに食べる。ワゴン車に載せて選ばせるヤムチャ方式だ。合理的で店側にも便利なようだ。レストランのサービス料も20%が常識と変わっていた。我々が住んでいた頃は15%だった。
シンシナティに移動してレンタカーを借りた。最初の失敗はスーパーの前の駐車場でトランクの中にカギを入れたまま蓋をしたことだ。慌てた!25年前、同様な事件でポリさんを呼んでもらってドアーを開けたことを思い出した。当時は携帯なし。助けを頼みに店内に入ったが多忙で応じてもらえない。そのうちワイフが店内に筆者を迎えに来て、「ワゴン回収係員に運転席下部のオープナーで開けてもらった!」という。マウスでなければ開けられないという思い込みだった。ヤレヤレ。
在米中の20年間感じなかったことだが、ファースト・フードのサブウェイで見た光景が印象に残った。午後7:30頃、母子家庭らしい母子3人が入ってきた。姉妹の、姉の方の暗く寂しい表情に心を奪われた。そこに孤独感を見たのだ。小学5年生ぐらいか。その妹は母に向かってしゃべり続けていた。働いている母が帰宅し、ようやく外出したことが嬉しいのだろう。店は混み、待たされていた。出来上がった1本のサンドイッチをそこでは食べず持ち帰って頂くようだ。はてな?飲み物は家で準備し、母親自身は買ったサンドイッチは食べず、ありあわせの食料を食べるのではないか。
続いてシンシナティでシニア夫婦2組と食事で交流した。1組は20年以上の付き合い、もう1組は最近アンチトランプのTシャツを日本まで贈ってくれた友人。いずれもトヨタのベテラン社員だった。彼らの共通点はレキサス愛用、過去のステイタスを維持しているように思えた。はてな?会食はビールで乾杯し丼物だけ。我々夫婦と類似の生活がしのばれた。
今回食事を共にした2組と観察した1組の3段階年齢層…中年、若い家族、シニア…で感じたことは、それなりに生活は質素ということだった。アメリカの庶民の普段の暮らしは単純で倹約型だ。週末には外食などで賑やかな雰囲気を家族で味わう習慣がある。そういえばアメリカ転勤直後で借家生活だった当時、隣家は週末には必ず旦那がベランダでステーキを焼いていた。
通常、旅と言えば未知の地の世界遺産など人類の歴史や遺跡などを見聞することが多いのだが、私たちのように100か国以上訪問していると静止しているものより現在生きていて行動するものに関心が向く。それは文化よって異なる人間の行動だ。人との付き合いが大切なこと、言うまでもない。

文・写真/小川律昭
筆者プロフィール
<小川律昭(おがわただあき)> 86歳
地球漫歩自悠人。「変化こそわが人生」をモットーとし、「加齢と老化は別」を信条とし、好奇心を武器に世界を駈け巡るアクティブ・シニア。オハイオ州シンシナティと東京、国立市に居所を持つ。在職中はケミカルエンジニア。生きがいはバックパックの旅と油絵。著書は「還暦からのニッポン脱出」「デートは地球の裏側で!夫婦で創る異文化の旅」。
<小川彩子(おがわあやこ)>80歳
教育学博士。グローバル教育者。エッセイスト。30歳の自己変革、50歳過ぎての米国大学院博士過程や英・和文の著書による多文化共生促進活動は泣き笑い挑戦人生。「挑戦に適齢期なし」を信念とし、地球探訪と講演・発表の日々。著書は「Still Waters Run Deep (Part 1) (Part 2)」「突然炎のごとく」「Across the Milky Way: 流るる月も心して」ほか。
【HP】http://ogawaa.web.fc2.com/
【ブログ】http://blog.goo.ne.jp/ogawaa