覚悟は良いか?:列車、航空機等の移動中の盗難は旅につきもの <フランス、スペイン、チェコ・リパブリック他>
最近の東京新聞に国際便航空機内で現金だけの盗難頻発と出ていた。「客の熟睡中、頭上のボックスや座席下に置かれたバックの中が狙われる」と。筆者も寝込みを襲われたことがあり、混んだ列車内で集団スリに狙われもした。路上でウエイスト・バック内から掏られたのは何時やられたのか判らず今でも不思議に思う。インド、ムンバイでは当然鍵をかけて外室中、夫婦2人のバックパックを開けて下から上まで調べた形勢があり、少額だが金を抜かれたが、こちらも不注意だったろう。我々の旅は荷物が少ない気楽なバックパカーの個人旅だが、貴重品管理は常に念頭に置くべきですね。よく団体旅行者から50万円以上の盗難の話を聞く。親友のK氏は「100万円盗まれた」と。大金を持っている人は顔や動作で判るらしい。プロにはそう感じられるらしい。その点気をつけないとね。普段の顔を装うことだ。筆者が遭遇した盗難の具体例をあげよう。
1)プラハからクラクフへ
チェコ・リパブリックのプラハからポーランド、クラクフへ夜行列車で行った。指定席が入手できなくて個室の自由席。深夜にポーランドへの入国検閲がすんでヤレヤレ、と眠りかけた寝入りばな。ひと気を感じ、扉が開き、締まるのは目に映った。眠り辛くウエイスト・バックを背中側に巻いて寝ていた。ハッとしてバックに手をやったら開いていた。慌てて「ドロボー」と叫んで飛び出したが廊下には人の姿はなく、連呼して廊下を駈けて行ったら、洗面所の入り口の下に赤色のパスポートが目に入った。次の車両まで追ったが人の姿は見えず、パスポートを拾って自室に戻った。妻が「どうしたの?」と聞いた。「盗難にあった!」と話した。彼女もウエイスト・バックをチェックし、現金を抜かれたことを初めて知った。パスポートは無事でホットしていた。終点のホームには警官がおり、一部始終を報告したが、警察署に行け、と指示され、その足で警察署に行き盗難処理手続き。ほぼ1日かかり、夜8時まで。英語の通訳がいないのでおばあさんの通訳が来るまで今か今かと廊下の堅い椅子で。夕方となり、「1日待っているんですよ!」と妻が言ったら、「This is not Japan! This is Poland!」と、待たせることをさも自慢そうに。その間妻を警察署に残し、クラクフの繁華街に行き、ホテル探しや銀行で換金等、飛び回った。警察に言わせれば、「掏られた人間が悪いのだ!」そうだ。とんでもない災難日だった。
2)スペインのバルセロナ地下鉄で
サッカーの国内大会で地元が勝ったらしく、飲んで帰路につく人もあり、道幅いっぱいの群集でバルセロナ市内は大賑わいだった。地下鉄に乗り込むのに中がいっぱいで押され、電車の入口から中へ進めなかった。無理をして奥にと頑張るのだが、押される力より私の前の群集の抵抗する力の方が大きく、苦労した。ようやくは入れてホッとし、次の駅でドーと人が降りてガラガラになった。ところが車内の降り口付近に黒い財布が落ちているではないか。私の財布だ!拾い上げて見たら私のだ。中を調べたらキャッシュ全ての500ドルがない。カード類や免許証はそのままで、現金だけが抜かれたのだ。プロのやる仕業だ。乗車しかけた人を押す人、私の前で正面を向いて抵抗しながら財布を掏り取る人、と分業のグループにやられたのだ。恐れ入った!だが、この分析は後で気付いたこと。人間、2つの行動…迅速乗車と防犯…を同時に対応出来ないものだ。乗ろうとする意思が強く働くものだから。その人間の真理をよくついている、知恵のある掏りにはかないませんネ。
3)フランスはパリ、凱旋門通りで
シャンゼリゼ大通り横の街路の真ん中で3人ほどの女性がアンケートに答えさせていた。妻が答えてあげていた。その横を通る通行人が、「Be careful!」と我々に向って言った。そこを離れたら、近くで「これ貴女のではないですか?」と妻は名刺入れを差し出された。妻のウエイスト・バックが開いていた。同じことがモンマルトルの丘の街路でも、サクレクール寺院の近くでも行われていた。
先進国では摺りが旅行客のスキを見逃さず、巧妙な方法で近づいてくるのでご注意あれ。

文・写真/小川律昭
筆者プロフィール
<小川律昭(おがわただあき)> 86歳
地球漫歩自悠人。「変化こそわが人生」をモットーとし、「加齢と老化は別」を信条とし、好奇心を武器に世界を駈け巡るアクティブ・シニア。オハイオ州シンシナティと東京、国立市に居所を持つ。在職中はケミカルエンジニア。生きがいはバックパックの旅と油絵。著書は「還暦からのニッポン脱出」「デートは地球の裏側で!夫婦で創る異文化の旅」。
<小川彩子(おがわあやこ)>80歳
教育学博士。グローバル教育者。エッセイスト。30歳の自己変革、50歳過ぎての米国大学院博士過程や英・和文の著書による多文化共生促進活動は泣き笑い挑戦人生。「挑戦に適齢期なし」を信念とし、地球探訪と講演・発表の日々。著書は「Still Waters Run Deep (Part 1) (Part 2)」「突然炎のごとく」「Across the Milky Way: 流るる月も心して」ほか。
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