癌になっても旅に出る地球千鳥足夫婦です!
夫の肺に直径約1cmの腫瘍が発見された。2年前腹部大動脈瘤を発見してくれた優秀な医師なので極小の癌をも発見できたのだ。発見直後に「アメリカへ行こう!」と飛行機に飛び乗った。「じっとしていたらきっと落ち込むだろう、動いている方が良い!」と直感して。主目的はA航空のフライトアテンダント、リサさんに会うことだった。「泊りにいらっしゃい!」と招待をうけていた。リサさんの団那さまも同じエアライン勤務、副操縦士だ。筆者は前回のアメリカ行きで客として乗っていただけ。リサさんは「日本人大好き!」と言って大サービスをしてくれ、「私の家はフォートワースにあるので次回のアメリカ行きではDFW経由にして我が家に泊ってくださいヨ!」と。そのご招待に甘えたのだ。リサさんはDFW空港内で待っていてくれ、1時間弱の運転で彼女の家に。その日は団那さまも仕事がオフで、ご夫妻にDFWを案内してもらい、泊めて頂いた。本棚には大量の日本語・日本文化の本が並び、彼女は日本語堪能だった。庭には松の木が8本も植わっており、夫がその松の剪定をしてあげたのがせめてものお礼だった。飛行機の乗客だっただけのご縁で、宿泊を含め信じられない親切の数々を受けたDFW行きだった。
2つ目の目的は、20年住んだCincinnatiの友人たちに「さよならを言ってこよう」だった。癌になったからにはそうそうアメリカに戻れないだろうから。連日会えるだけの友人に会い、食事をしつつ別れを惜しんだ。ある日など9人も会った。日本人シニア会にも参加したが、その日の話題は 「私の失敗談:ここだけの話」。筆者夫婦共々皆さん異国での失敗を披露しあって、笑いの絶えないひと時を過ごした。筆者の報告:「訪米中のある日突然便器が真っ赤になったのでびっくり仰天、慌てて翌日帰国したが、実は血尿はかつての隣人宅でご馳走になったビート料理のせいだった!病気と勘違いし、アメリカの高額入院費を恐れ、直前購入ゆえそれこそ高額なビジネス航空券40万円を夫婦2人分、80万円支払って。」
滞在1週間で実に多くの友人に会い、友情で温められたCincinnati帰郷だった。

文・写真/小川彩子
筆者プロフィール
<小川律昭(おがわただあき)> 86歳
地球漫歩自悠人。「変化こそわが人生」をモットーとし、「加齢と老化は別」を信条とし、好奇心を武器に世界を駈け巡るアクティブ・シニア。オハイオ州シンシナティと東京、国立市に居所を持つ。在職中はケミカルエンジニア。生きがいはバックパックの旅と油絵。著書は「還暦からのニッポン脱出」「デートは地球の裏側で!夫婦で創る異文化の旅」。
<小川彩子(おがわあやこ)>80歳
教育学博士。グローバル教育者。エッセイスト。30歳の自己変革、50歳過ぎての米国大学院博士過程や英・和文の著書による多文化共生促進活動は泣き笑い挑戦人生。「挑戦に適齢期なし」を信念とし、地球探訪と講演・発表の日々。著書は「Still Waters Run Deep (Part 1) (Part 2)」「突然炎のごとく」「Across the Milky Way: 流るる月も心して」ほか。
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