【第290回】多国の都市

デートは地球のあちこちで

 古希を過ぎてからも夫婦が多くは別々に、時には一緒に、日本、USAと住み、その上2人の子どもも別の所に住んでいた関係上、学校の休み等、互いの都合に合う待ち合わせ場所を決めてデートし、そこから一緒に目的の観光地を訪ねた。時間と経費が1人分節約できるからだ。全てが上手に逢えたわけではなく、スリルのあるデートではあり、また、逢うための原則もあった。日本への帰郷は家屋敷の管理が主目的で10日以上滞在する。日本からの帰米を利用して途中でドツキングして主観光をする。

1.カサブランカで会いましょう
 結婚25周年記念の旅、「デートは地球の裏側で!」。夫は地球を北周り、妻は南周りして、デートは地球の反対側の、モロッコはカサブランカで。アクシデントの後劇的に会えた。
2.サンフランシスコで会いましょう:
 社会人になったばかりの子どもたち2人は日本から、我々夫婦はOhio州Cincinnatiから搭乗して、サンフランシスコで出会うというデート。子どもの乗った日本からの便にアクシデントがあり、やっと会えたのち、かつて筆者の父親が住んでいたオークランドの旧住所を一緒に訪問した。
3.カンクンで会いましょう:
メキシコのリゾート地、かンクン。空港の掲示をまともに信用して時間をつぶしていたらすれ違いし、すぐには会えなかった。
4.ラスベガスで会いましょう:
筆者は日本から、ワイフはシンシナティから、ラスベガスで会ってデス・ヴァレーに行った。デス・ヴァレーではレンタカーが急な砂利道でスピンし、文字通り、「生か死か」という最大のアクシデントに見舞われた。
5.ソルトレイクで会いましょう:
筆者は日本から、ワイフはシンシナティから、ソルトレイクで会い、イエローストーン国立公園へ行った。
6.デンバーで会いましょう:
コロラドの松茸狩りに友人夫妻を誘い、デンバーで会った。
7.サンチャゴで会いましょう:
結婚40周年記念のデートは地球の反対側で。空港で会えなかったが、予約していたホテルで会えた。この時の旅でアコンカグア登山に挑戦し、ワイフは高山病で意識不明になりヘリコプターで下ろされた。筆者はミュール(騾馬)で下りた。
8.ホノルルで会いましょう:
筆者はシンシナティからハワイ目的でシンシナティ往復の旅、ワイフはシンシナティ・日本往復の旅の途中降機、飛行機も行き先も異なったが、「終の棲家探し」としてハワイをうろついた。が、物価高で「終の棲家」は諦めた。思い返せばなかなか大胆なことをやったものだね。アメリカに20年住み、その間メキシコに2年駐在したが、夫婦デートのそれぞれの出発点が日本、米国、メキシコ、と異なり、その上、道中、ハワイの別荘地も見ようという酔狂な企画だった。「会えればグラスでカッチンし、会えなければそれぞれ勝手に旅を続ける」というルールを定めての行動だった。1回はハワイの空港で会えてホテルは一緒だったが、帰る方向が筆者はCincinnatiへ、ワイフは日本へ、だった。レンタカーに積むべきワイフの荷物をホテルに置き忘れてしまい、空港近くのレンタカー会社で気付いた。が、ホテルに戻る時間がない。ホテルに電話し、タクシーで荷物をレンタカー会社まで送らせ、荷物は受け取ったのは良かったが、飛行機には間に合わなかった、という話は忘れ得ぬ悲喜劇だ。一方ワイフは荷物無しで日本に帰国、税関が「荷物は?」「ハワイに行ったのに荷物がなくてハンドバックだけ?」と怪訝な顔で聞かれた。日本に着くべきワイフの荷物を親切に持ってやった筆者がCincinnatiに持ち帰ってしまった、というわけ。いずれも携帯電話のない頃だった。

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(左)サイパンでもデートした (右)アラスカでデートし、セスナに乗り、乾杯!

文・写真/小川律昭

筆者プロフィール
<小川律昭(おがわただあき)> 86歳
地球漫歩自悠人。「変化こそわが人生」をモットーとし、「加齢と老化は別」を信条とし、好奇心を武器に世界を駈け巡るアクティブ・シニア。オハイオ州シンシナティと東京、国立市に居所を持つ。在職中はケミカルエンジニア。生きがいはバックパックの旅と油絵。著書は「還暦からのニッポン脱出」「デートは地球の裏側で!夫婦で創る異文化の旅」。

<小川彩子(おがわあやこ)>80歳
教育学博士。グローバル教育者。エッセイスト。30歳の自己変革、50歳過ぎての米国大学院博士過程や英・和文の著書による多文化共生促進活動は泣き笑い挑戦人生。「挑戦に適齢期なし」を信念とし、地球探訪と講演・発表の日々。著書は「Still Waters Run Deep (Part 1) (Part 2)」「突然炎のごとく」「Across the Milky Way: 流るる月も心して」ほか。
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