高等専門学校(高専)は、「技術立国」として世界をリードする未来の技術者=エンジニアを養成する5年制の学校で、全国に57校(国立:51校、公立:3校、私立:3校)が設置されています。高専には、機械系、材料系、電気・電子系、情報系、建築系、建設系、化学・生物系、商船系などの学科(コース)が設置されており、学んだことを応用する能力を身につけるために、理論だけではなく実験・実習に重点が置かれた指導が行われています。(商船科は5年半の課程です。)
高専の入学資格は、中学校卒業者、中等教育学校の前期課程修了者とこれらと同等の学力があると認められる者です。中学を卒業して、すぐに専門分野を学ぶことができますので、理系の分野に興味があり、早く専門分野を学びたい中学生にはお勧めです。高専を卒業すると、短期大学卒業と同等の学位(準学士号)が取得できます。また、卒業生は、製造業を初めとして様々な分野で活躍しています。卒業生に対する産業界からの評価は非常に高く、就職希望者に対する就職率や求人倍率も高い水準となっています。
高専卒業後は、大学の3年次に編入することもでき、約4割が大学に進学しています。また、その多くが推薦入学制度を利用して編入しており、国公立大学にも多数編入しています。特に、高専卒業生を積極的に受け入れている長岡科学技術大や豊橋科学技術大には多数が編入しています。
高専卒業後は、各校に設置されている2年間の専攻科に進学することもできます。専攻科を修了すれば、大学卒業と同等の学位(学士号)が取得できます。大学卒業後は、大学院に進学する学生もおり、チーフエンジニアや研究者として活躍しています。
また、最近は、高専に進学する女子も増加傾向にあり、5~6人に1人が女子生徒です。設置学科の改編などにより、女子に人気のある専門分野を学べるようになっているためです。また、高専の女子卒業生は、産業界からのニーズも高く、就職状況も良好です。
57校の高専の内、帰国生入試を実施している学校は22校です。地方の学校が目立ちますが、すべての学校に寮が設置されているので、帰国する場所は考えなくてもよいですし、保護者が海外に残留するケースでも進学できます。帰国生入試の選考方法は、学校によって異なりますが、学力試験(数学、理科、英語)と作文、面接を課す学校が主流です。得意科目の数学や理科で受験できるのが魅力的ですので、帰国後の進学先として、高専を考えてみるのもいかがでしょうか。
以下に、帰国生入試を実施する22校の高専と、設置学科(コース)、全生徒に対する女子生徒の占める比率を一覧表にまとめましたので、参考にしてください。


《執筆者》
丹羽 筆人(名古屋国際中学校・高等学校 アドミッションオフィサー北米地域担当 )河合塾での指導経験を経て、米国ではCA・NY・NJ・MI州の補習校・学習塾にて指導。現在はサンディエゴ補習授業校教務主任。代表を務める「米日教育交流協議会」では、日本語・日本文化体験学習「サマーキャンプ in ぎふ」を実施。他に、河合塾北米事務所アドバイザー。
●お問い合わせ先: nihs@ujeec.org(名古屋国際中高)