【第123回】帰国生入試・編入学試験対策のポイント

 現地校の新年度の授業が始まっています。夏休み前とは異なり、多くの学校で全面的に対面授業を再開しています。新型コロナウイルス感染症は終息したわけではありませんし、久しぶりに学校へ通学するという生活になるため、子ども達の心身状態の変化に目を配らないとなりません。また、補習授業校や学習塾も対面授業が再開している地域も増えていますし、習い事なども始まり、子ども達の日常生活も多忙になりつつあります。生活のリズムに慣れるまでは、無理しないのが良いでしょう。

 ただし、帰国時期が近づき、年内または年明けに中学や高校への入学・編入学の試験を受験する予定のお子さんは、受験対策も進めていかねばなりません。ここでは、帰国予定のお子さんのための受験対策のポイントについて述べさせていただきます。

<中学入試・編入学試験>

①一般入試と同一問題で受験する場合

 ⇒高レベルの学習が必要。過去問や市販の入試問題集に取り組む。学習塾も利用した方が良い。

②帰国生専用問題で受験する場合

 ⇒教科書レベル+受験レベルの基本知識が必要。補習授業校での学習を大切に。

③英語の試験がある場合

 ⇒英検やTOEFLの学習を行う。英検は2級程度。英検やTOEFLの問題集に取り組む。

④英語作文がある場合

 ⇒語彙力と文章構成力の向上を図る。英語のネイティブの先生に指導していただくのもよい。

⑤日本語作文・面接を受験する場合

 ⇒海外での経験、自分の得意なこと、興味のあることを文章としてまとめておく。

⑥適性試験を受験する場合

 ⇒国語・算数・社会・理科の基本的な学習をしっかり行う。作文の練習を重ねる。学校での勉強に真剣に取り組む。

<高校入試・編入学試験>

①公立高校や一般の私立高校の場合

 ⇒補習校や教科書での学習に力を入れる。受験教科の教科書の内容を十分理解することが大切。市販の公立高校入試問題集に取り組むのもよい。編入の場合は、志望校の教科書を入手して学習するとよい。志望校に問い合わせて、使用している教科書や進度を確認する。

②難関国私立高校の場合

 ⇒国語、数学、英語は受験を意識した学習もする。

 ・国語:多種多様な分野の文章を多読する。記述力を身につける。文法、ことわざ、慣用句、四字熟語、文学史も押さえておく。編入では古典(古文・漢文)も必須。

 ・数学:計算をスピーディーに行う練習をする。最短解法を身につける。計算問題は答えのみでなく途中式も書く。証明問題に慣れる。

 ・英語:文法をしっかりと学び、入試問題を解く練習を積む。

③英語力を重視する高校の場合(上記②の対策に加える)

 ⇒現地校の学習で、英語力に磨きをかける。英検やTOEFLにもチャレンジする。  現地校と補習校・学習塾、習い事との両立と受験勉強は、お子さんにとっては負担が大きいと思いますが、志望校合格に向けて頑張っていただきたいと思います。

《執筆者》

丹羽 筆人(名古屋国際中学校・高等学校 アドミッションオフィサー北米地域担当 )

 河合塾での指導経験を経て、米国ではCA・NY・NJ・MI州の補習校・学習塾にて指導。現在はサンディエゴ補習授業校指導教諭。代表を務める「米日教育交流協議会」では、日本語・日本文化体験学習「サマーキャンプ in ぎふ」を実施。他に、NIC国際高等学校・名古屋商科大学アドミッションオフィサー北米地域担当、河合塾海外帰国生コース北米事務所進学アドバイザー。

●お問い合わせ先:E-mail nihs@ujeec.org(名古屋国際中高)